2009年10月30日

風邪の診断

開院から1ヶ月が経過しました

勤務医とは異なる大変さでした....が
素敵なスタッフに恵まれて何とか乗り切ることが出来ましたわーい(嬉しい顔)

インフルエンザが下火の様相になってきたのは何よりです



若干の余裕が出てきましたので病気のお話をしてゆきたいと思います



風邪の診断

「風邪」という診断をよく耳にすると思いますが、実はあいまいな診断です。教科書を見ると「主にウイルスによって熱、咳、鼻汁(鼻みず)、咽頭痛(のどの痛み)が生じる病態」と定義されています。

 抗生剤による治療は無効であり、症状を抑える治療で経過を見ることになります。あたかも診療が簡単に思われがちですが、実際はそう簡単ではありません。「風邪」と診断する検査やキットがないのですから.....

 熱が出て喉が痛くなる病気にはインフルエンザがあったり、アデノウイルスがあったり、溶連菌などがあります。咳が喘息の症状であったり、鼻水がアレルギー性鼻炎だったり、よく経験する症状ひとつとっても様々な病気が考えられます。これらの病気を否定して、はじめて「風邪」の診断に至るのです。これはあたかもジグソーパズルで周囲を埋めていったときに、その隙間のピースがどのようなものであるか浮かび上がってくる様に似ています。

 初期段階での「風邪」の診断は難しいことがあります。それは症状が出現して間もなくの段階では喉が赤くなかったり、インフルエンザの検査で陽性と判定されなかったり、レントゲンに影が写らないなど他の病気との区別が困難のことが多いためです。ただの鼻かぜと思っていたら咳がついてきて、ゼーゼーもひどくなって、実はRSウイルス感染症による肺炎+喘息様気管支炎だった…なんてことが、めずらしいことではありません。「後医(後で診察をするお医者さん)は名医」という言葉があります。診断には経過を確認することが必要となることもあるのだということを皆さんに知って欲しいと思います。

 ...といって診断をおろそかに「熱が出たから、原因は判らないけど念のために抗生剤」と考えていると、真の病名を見逃してしまう可能性も出てきます。例えば腎盂腎炎(腎臓でバイ菌が増える)は抗生剤を使うと良くなります。しかし熱が出たから抗生剤…と診断をつけずに抗生剤を使用すると、最終的に熱の原因は判らないままということになります。結果として治療が不十分で再発しまうことも考えられます。

 また「念のための抗生剤」ということで不必要な抗生剤をどんどん使っていると体の中に耐性菌という抗生剤の効かない菌が発生し、本当に必要な時に抗生剤が効かないという事態が発生するおそれが出てきます。この耐性菌はお友達に伝播していきます。未来の子供達を守るためにも抗生剤は大事に使いたいと考えています。

*参考文献:思考としての感染症、思想としての感染症 岩田健太郎(中外医学社)



posted by ながやまキッズファミリークリニック at 12:38| Comment(1) | TrackBack(0) | 医療コラム
この記事へのコメント
ご無沙汰しております。
函館の新聞屋です。
ご記憶にまだ残っておりますでしょうか。

旭川の友人に「近所に新しい小児科が出来たんだけど、函館にいたことある先生だってよ?」とメールを貰い、どれどれとHPを開いたら・・・どれだけ私が驚いたか想像つきますか?(笑)
お元気にご活躍の由、私が申すのもなんですが大変うれしく存じます。
是非またご家族で花火大会見にいらっしゃって下さい。
(お子さん大きくなられたでしょうね。ウチのは3年生です。吹奏楽部でチューバ吹いてます)

最後になりましたが、開院おめでとうございます。
大崎先生はお優しいので、明るく素敵な病院なのでしょうね。
なんとなく外観が渋谷先生の病院に似ています(笑)
Posted by 新聞屋@函館 at 2009年11月14日 15:34
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